過去日本のバイクメーカーがメキメキと性能を上げていく中、「ところでハーレーはどうなの?」という話になった時「ああ、あれね、結局よくないよ」という風に「ハーレーはダメバイク」というレッテルを貼られていた一時期がありました。少なくとも私のまわりはそうでした。その理由としてあげられていた点はだいたい次のようなものだったと思います。

①遅い

②曲がらない

③壊れやすい

①に関して→「たしかにハーレーは排気量は大きいしそれなりにパワーがあるだろうけど、何せ車体が重いから結局速く走れないよ。たまに4、5台連ねて走ってるハーレーのおっちゃんたちを見てごらんよ、ゆっくりしか走ってないだろう?」みたいな言われ方。

②に関して→「ハーレーって『アメリカン』でしょう?バンク角もあんまりないし、スポーツするバイクじゃなくてのんびり走るバイクなんだからコーナーをせめたりはできないよ」みたいな言われ方。

③に関して→「ハーレーはとにかく壊れやすい『らしい』よ」みたいな言われ方。

ちょうどその頃巷ではレーサーレプリカブームでして、カタログを見ながら「こっちのほうが何馬力多いよな」など皆さんで言ってたような時代でした。「速くなければバイクではない」というこの頃、ハーレーは①②③のような理由で「論外」となっていました。

しかし、私の周りの、これらの意見を言うほとんどの人が、「ハーレーに乗ったことがない」人達であり結局は噂ばなし、憶測の域を出ていなかった。

というか、スペックとか書いてあるカタログなども当時はなく、まだまだハーレーは謎でした。

大排気量の魅力、そしてあのハーレー乗りのおっちゃんたちの満足げな顔など気になっていた私は「乗ってみなければわからない」ということで比較的手頃な価格のスポーツスターを購入。それから20年乗ってみて上の①②③がはたしてどうなのか、ある程度の答えがでたとおもいます。そこで、ハーレーも、ツアラー系、スポーツ系、中間のダイナ系などの車種の違いがあったこともわかり、一概には言えないけれど少なくとも私が選んだスポーツスターは①と②に関しては、「NO」ということがわかりました。遅い?なんの、ノーマルでも速いしもっと速くもできる。コーナリングもけっこう楽しい。なんならバックステップつけてもいい。

しかし、③に関しては、うーん、残念ながら「YES」と言わざるを得ないかもしれません。壊れては直し、壊れては直し、20年、少し心が折れかけたときもあったけど今にいたります。お世話になってるバイク屋さんには「まだ買い替えないの?」と言われながらも何とかしてもらっています。純正部品もだんだん手に入らなくなってきつつあるとのこと。

昔、手塚治虫の漫画に「どろろ」というのがあった。五体満足ではなかった「どろろ」が悪いやつを一人やっつけるたびに義足が、本物の人体の足になっていく、次は義手が戻り次は義眼が本物の目になり、という風にだんだん五体が満足になっていく話。自分のスポーツスターを眺めながらこの「どろろ」を思い出したりする今日このごろ。

次はどこが壊れるかわからないけど、なんとか直せるかぎり、とことんつきあって行きたいと思います。

私なりの結論:ハーレーも他の車種はほとんど乗ったことがないが、スポーツスターに関して言うならば、20年乗ってみて、走る、曲がる、止まるに不満は全くない。ただ、故障に関しては、ある程度噂通りでありその点覚悟して乗ったほうがいいでしょう。総合的には、・・・壊れやすい点をのぞけば、ダメバイクではない。